「愚者と星と死神についてのいくつかの考察」
だいぶと間が空いてしまいましたが。
劇団留級座 2024 秋の番外公演「愚者と星と死神についてのいくつかの考察」、ご来場いただいた皆様に心より御礼申し上げます。

5月ぶりのSTARバーでの、女6人芝居。
少人数でしたので、「最早」という感じではありますが、有難くも主演をいただいた作品でした。
「ゆめゆめこのじ」の秋雪太夫
「Manegerシリーズ」の狭河清歌
「椿姫=原罪」のマルグリット・ゴーティエ
「群盗=滅罪」のフラン・モール
そして今作の渡邉さくらことチェリ子。

いやーーーー……難しかったな(笑)
恵比寿の小さなバーで、ワンコインでなんちゃってタロット占い師をしている、というような役どころでしたが、そこに至った彼女の背景がさ。塩梅本当に難しくて。
作中で、莉奈に対して自分の過去と思いを吐露するシーンで判明するのですが、「同僚や部下に対するハラスメントの疑い」により休職を勧められ、結果として仕事を辞めたわけなんですね。
つまり、【加害者側】なんです。さくら。
役作りしていくにあたって、実際にさくらがハラスメント気質を持った人物だとは思っていませんでした。
ただ、「そう受け取られてしまう思いや言葉の強さ」は割と気にして作ったところで。
こういう言い方すると語弊があるかもしれないけど、【被害者側】って割と理解がしやすいというか、作りやすいところがあるよなぁ、と思っており。
人間誰しも、誰かのせいにしたかったり、責任負いたくない部分てあるじゃないですか。大小あれど。
それに、やっぱり心情として「かわいそう」とか「つらい、悲しい」みたいなのって寄り添いやすい。
(だからといって簡単とは思わない。勿論。)
これがたとえば、7月の時みたいにどファンタジーで「悪役」っていう立ち位置だったらまた話は違ってくるんですけどね。振り切って楽しめる部分もあると思う。
あたしの場合は群盗のフランがそうだったので。……いや、あれはあれで相当苦しかったんだけど。
うん。話が逸れた。
設定として、元々部長クラスだった人でもあるので、おそらくそれなりに仕事も出来たし、責任感の強い人だったろうなとは思うんですよね。(なので、衣装もふんわりキャリアウーマンぽさをイメージして選んだ)
多分、「人の上に立つ」とはどういうことか、ってことに対して彼女なりの思いや覚悟もあったけれど、距離感や言葉選びを誤りやすいところがあったんだろうな、とか。
「退職」ではなく、まず「休職」を勧められたところからも、彼女が本当にパワハラをしたのだとは思われていないだろうとも考えていました。
でもさー、これほんっとうに難しいところだと思ってて。
「受け取り方」は千差万別で、おそらく「さくらの言葉や態度によって傷ついた人物がいる」ことについては嘘じゃないだろうと思うわけです。
しかも、多分まぁまぁいる。だから庇いきれない。
見方によってはさくらも【被害者】と言えばそうなんだけど、そういうことじゃないんですよね。
傷ついた同僚や部下がいたこと、自分が傷つけた事実があること、それを受け止めた上で、どうしたらよかったんだろうとか多分すんごい考えてたと思うし、だから占い結果を伝えるにしても「無難なことしか言わん」し「責任持ちたくない」だったんだろうなと思うし。
こういった諸々を自分の中で構築していって、最も難しかった台詞が「そんなつもりなかった」でした。
「私はそんなつもりなかった。周りに対するアドバイスとか、発破をかけるつもりで言ってた。それがそういう風に受け取られることがあるなんて露も思ってなかった」
「そんなつもりなかった。」
言われたことがあるから思う。
これ、めっちゃくちゃ傷つくんですわ。何なら、強い言葉で否定されたこと以上に。
何?そんなつもりなかったなら何言っても許されると思ってるの?
あなたが好きだからとか、あなたのためを思ってとか、愛や信頼があれば何でもいいわけ?
ってさ。
事実、さくらの場合はそんなつもりなかったとは思う。けれど、それは免罪符にはなり得ないし、相手が傷ついた事実は無くならない。
何ていうかさ。
「そんなつもりなかった」って言うなってことでは無くてね、勿論。
その後ろに「だから許してね」が乗っかることがめちゃくちゃ多いんですよこの言葉。
だからそれを感じ取った瞬間にとんでもなく傷つく。
でも、それが乗っちゃう気持ちも正直わかってしまう。
人は許されたいから。
なので、なるべく事実としてだけの「そんなつもりなかった」を伝えられるように、かなり気をつけたつもりでいます。
もしかしたら、似たような経験をされたことがあるお客様もいらっしゃったかもしれないしね。言う方も言われた方も。
全然、無い話じゃないから。むしろ昨今よりデリケートに扱われる部分ですし。
観てくださった方にどう伝わったかはわからないけど。
でも、ラストの明香との会話から感じ取れるさくらの変化を、好意的に受け取ってくださった方がほとんどのような気もしているので、概ねやりたかったことは出来たのかな、と思っています。
反省点は、それはそれはもうたくさんあるけれど。
それは……もう…………(遠い目)
今回、会話の空気感が全体的にかなりラフだったので、役の上だと割と重ため・しっかりめの言葉遣いをすることが多い小沼、実は結構苦戦してたの。
本番入ってもマジでずーーーーーっと不安で、あんなに不安だったこと無いかもしれん。

今回、特に会話する時間も長く、お世話になった辰己ちゃん。
何だかんだご一緒する機会は多かったけど、ここまでがっつり板上で会話することってそんなになかったんだよね。
5月の二人芝居が、会話してる時間だけでいったら同じくらいだった気もするんだけど、やっぱり役の上での関係性がその時よりも近い分、何だか今回の方が濃かったような気がしています。
辰己ちゃん自身が持っている素直で明るい部分が、明香という役に存分に生かされていたし、さくらは勿論のこと小沼もとってもとっても助けられました。
ラスト、お互いにカードを手に言葉を渡し合うシーン、泣かない様にするの大変だったね(笑)
とてもとても印象深く、思い出深いシーンになりました。
ありがとうね。

複数回観てくださったお客様が差し入れてくれたオリジナルTシャツ!
仕事早いし作中のモチーフもバッチリだし本当にすごい!!
タロットカードのワッペン、あるもんなんだな……(笑)
9月の「ダーツ・オブ・フォーチュン」が終わって、三週間も無い状態で本番を迎えることになるので、正直お引き受けするかどうかかなり悩んだのですが。
でも、結果として演らせてもらえて本当に良かったな、と心から思います。
「是非小沼さんにこの役を」と言って、お声がけくださった星野さんへ心からの感謝を。
昨年の「甘いものを食べる。〜」のハジメちゃんもそうでしたが、なかなか他では回されない様なタイプの役を当てがってくださるので、本当に有り難いです。
今回は特にさくらの泥酔シーンですかね……あそこやっぱご感想で言われること多かった(笑)
STARバーという場所も含め、今後もお世話になると思いますので何卒、末長くよろしくお願い申し上げます……!

4月の「Re:TryAngle 1st」に始まり、五公演六作品に関わらせていただき、近年稀に見る現場続きだった約半年間。
新しい繋がりも出来、初めてご覧いただくお客様にも出会え、本当に有難いことです。
そんなわけで。
改めて、ご来場いただき本当に本当にありがとうございました。
皆勤賞の方もいらっしゃって有難い限りです。
STARバーで公演の時は、終演後のBARタイムでお話できた方が多かったのも嬉しかったなぁ。
お酒もごちそうさまでした。次の機会があれば、また是非(笑)
今年はひとまずこれで芝居納めですが、来月に一件、情報解禁を控えておりますのでそちらをお待ちいただければと。
2025年一発目は、1月半ばの予定です。
あと、10/30にSTARバーで一日店長やるんで!!
そちらも是非!えっくす見てね!
ではでは、またいずれお目にかかりましょう。
引き続き、応援してやってくださいね。
本当に、いつもありがとうございます。
プロフィール

小沼枝里子(おぬまえりこ)
1987年6月24日千葉県出身
総合学園ヒューマンアカデミーパフォーミングアーツカレッジ声優専攻卒業。
在学中は岩瀬浩司氏(演劇実践集団デスペラーズ主宰)に演劇を学び、卒業後はプロダクション東京ドラマハウスアクターズスタジオにて井口成人氏、劇団AND ENDLESSワークショップにて西田大輔氏らに師事。
以降、東京を中心に舞台俳優として活動。安定感のある演技に定評がある。
代表作に「椿姫=原罪」マルグリット・ゴーティエ役(主演)、「群盗=滅罪」フラン=モール役(W主演)、「BIRTHOLDILLDEATH」狩野リョウ役、「Once upon a time... in a blue moon」アナ役など。
2012年から歌い手としてライブ活動や音楽劇への参加を続けるほか、2017年からは瀬戸神社あじさい技芸祭(神奈川県横浜市)にて3年連続奉納歌唱を行う。
舞台俳優や歌い手、ポートレートモデルなどの他、ヘアメイク、衣裳進行、公演フライヤーの制作等、活動内容は多岐にわたっている。
【ご依頼】
お仕事のご依頼は eriko.onuma624@gmail.com まで。
三日以内に返信が無い場合は、お手数ですがこちらのブログにコメントしていただくか、Xアカウント宛にリプライ等頂戴出来ればと思います。
出演・活動履歴
【舞台(2021〜)】
2020年までの出演履歴はこちら。
2021年1月
エビスSTARバープロデュース公演 TryAngleⅣ
「瓶底のマクガフィン」エリナ役
2021年4月
エビスSTARバープロデュース公演 TryAngleⅤ
「Not Fantasy,But Reality~ぼくと幽霊と宇宙人とその他諸々~」
マッドサイエンティスト役
2021年5月
疾駆猿第玖回公演「BIRTHOLDILLDEATH」
「Under the Near Despair」狩野リョウ役
2021年10月
エビスSTARバープロデュース公演 TryAngleⅥ
「西園寺六花の読書式推論 - 喫茶『なごみ』の穏やかな日常/Hide&Seek~宇宙への旅~ -」四条かえで役
2023年4月
スペースM&Aプロデュース公演
「瓶底のマクガフィン(改訂版)」チエ役
2023年5月
疾駆猿 第拾回公演
「VAGUENIGMA-Two Detectives Act2- 明地百華の御節介メモアーズ【締糸】」
藤田伍月役
2023年7月
劇団留級座 番外公演
「甘いものを食べる。それが一番よい。」
Bitterチーム ハジメ役
2024年4月
工藤沙緒梨プロデュース公演 Re:TryAngle
「君たちが1000%!!」店長役
「デラシネたちの子守唄」エヴリ・ディガード役
2024年5月
エビスSTARバープロデュース公演 短篇作品集・其ノ肆「夜」
「プレリュード・フィズ」チーママ役
2024年7月
Anchor Produce旗揚げ公演
「Once upon a time... in a blue moon」アナ役
2024年9月
スペースM&Aプロデュース公演「ダーツ・オブ・フォーチュン」
エピソードB 小潟那桜子役
2024年10月
劇団留級座 2024 秋の番外公演「愚者と星と死神についてのいくつかの考察」
渡邉さくら(チェリ子)役
【歌】
2012年12月
森澤碧音(モダンダンサー)×劇団熱血天使×MovingExpress企画公演
「東の龍と西の太陽~古事記、はじまりの唄~」歌い手
2013年7月
菅沼萌恵×大坂真璃子ライブパフォーマンス企画
華志-kashi-和ライブ2013
花ノ宴-hanatage-ゲスト出演
2013年12月
宮路一昭プロデュース TONES night vol.20~ 20回もやっちゃいました!!
花ノ宴-hanatage- × i Canvas!ゲスト出演
2014年10月
IMT旗揚げ公演オリジナル音楽劇
「ジャンヌ・ダルク~フランスの大地に聴け」歌い手
2016年4月
ワンマンカバーライブ「月影-GETSU EI-」
2016年7月
ARTParty主催「ART Night Vol.2」
小沼枝里子×松下ゆいか ライブアートパフォーマンス
2018年2月
岡島沙緒梨劇場2018 立春
小沼枝里子×佐久間英憲×片山耀将 歌×ピアノ×踊りパフォーマンス
歌・脚本・演出
2019年6月
バースデーワンマンライブ「白蝕ノ蝶」
他
ユニット「雪月花」「AreA」「re:frain」のメンバーとしてのパフォーマンス出演
「瀬戸神社あじさい技芸祭」での奉納歌唱など
【モデル】
2008年7月、9月
東京写真連盟水着モデル撮影会
モデルとして参加
2016年1月
全東京写真連盟所属 2016年度準フォトジェニック
2016年4月
ミニフォトアルバム「ゆめみどり」発売
2017年5月
Tokyo Shibuya Collection 2017 Spring Collection
トライアルモデルとして出演
2017年10月
ミニフォトアルバム「Woman」発売
2018年2月
ミニフォトアルバム「白紙。」発売
他
【映像】
2017年11月
細谷彩佳映像企画「溺る色」ヘアメイク・音声提供
2018年7月
No Gimmick Classics「Ill take U」MV出演
2020年12月
疾駆猿 映像作品第二弾
「PhobiaPhagy-奇怪調度蒐集幾譚【幣】-」大辺ミツ役
ご購入→https://ws.formzu.net/sfgen/S52277058/
舞台出演履歴(〜2020)
【舞台】(〜2020年)
2007年12月
総合学園ヒューマンアカデミーパフォーミングアーツカレッジ卒業公演
「NANISAMA!~新しいハムレットを作る会」ガートルード役
2010年6月
演劇魅人ユメミドリ旗揚げ公演
「ゆめゆめこのじ」秋雪役
2013年2月
芸術集団れんこんきすたvol.18
「雲隠れシンフォニエッタ~紫式部『源氏物語』より」桐組・朧月夜役
2013年3月
演劇人*ゆーぎりすvol.2「泣きたいくらい、」ぼんぼろ役
2014年1月
GAIA art entertainmentプロデュース ディナー公演 arcadia vol.2
『浮世の値段 』~志士・華々~
華々チーム「萩と百合」にて与謝野晶子役
2014年2月
芸術集団れんこんきすたvol.20
「雲隠れシンフォニエッタ~紫式部『源氏物語』より」桐組・朧月夜役
2015年5月
GAIA art entertainmentプロデュース ディナー公演 arcadia vol.5
「月並みなはなし」セガワハナ役
2015年10月
疾駆猿第肆回公演
「VAGUENIGMA-1999- 宮堂青年の幻怪モラトリアム【晩春】」小茂根美優役
2016年1月
劇団熱血天使第12回公演「戦国北条記─虹は東に─」望月千代女役
2016年6月
疾駆猿第伍回公演
「VAGUENIGMA-1958- 日和見助手の怪異レポート【総記】」薬師景穏役
2016年8月
疾駆猿×演劇ユニットルソルナ×My Littele Shine合同公演「Garden」
ep2 千住花野役
2016年11月
岡島沙緒梨劇場
「紅涙」演出・木花咲耶姫役
2017年6月
疾駆猿第伍回半公演
「VAGUENIGMA -Wheel of Fortune- 鮫崎刑事の受難スパイラル【慾道】」市松なみ役
2017年10月
疾駆猿第陸回公演
「VAGUENIGMA-1959- 明地百華の御節介メモアーズ【斬糸】」蘆屋正宗役
2018年2月
岡島沙緒梨劇場2018 立春
「海神の二の姫-琥珀と真珠-」豊玉姫役
2018年2月
疾駆猿第陸回半公演
「VAGUENIGMA -Two Detectives- 明地百華の御節介メモアーズ【絡糸】」五布重衣役
2018年3月
クリム=カルム旗揚げ公演
「ロミオとジュリエット=断罪」キャピュレット夫人役
2018年6月
クリム=カルム
「椿姫=原罪」マルグリット・ゴーティエ役
2018年8月
疾駆猿×明治座アートクリエイト第一回朗読劇公演
「純文学のススメ【太宰】」(「雀」語り手、「貨幣」お酌の女)
2018年10月
エビスSTARバープロデュース公演 Manager.04
「雲無夜、楽仮装、嗜美酒」ゲスト出演 狭河清歌役
2018年11月
めくるめくるみ企画
「弥生三番街ゴールデンキラーズ」マリリン役
2018年12月
エビスSTARバープロデュース公演 Manager.05
「雪舞夜、尊慈愛、嗜美酒」「年終夜、忘苦労、嗜美酒」狭河清歌役
2019年2月
インプロカンパニーPlatform主催
「ACTIMELEE SAGA」俳優チーム出演
2019年5月
工藤沙緒梨主催 エビス★さおりバー
「萩と百合」山川登美子役
2019年7月
クリム=カルム
「群盗=滅罪」フラン・モール役
2020年9月
クリム=カルム
「ロミオとジュリエット=断々罪」キャピュレット役
2020年11月
エビスSTARバープロデュース公演TryAngleⅢ
「Jokes of a Boozer」バーテンダー役
他
おしまい。
そんなわけで、ここまでつれづれと書いて参りましたが。
ようやく、ちょっとだけ落ち着いた気がする(笑)
こんなにもロスを引きずれるほどの作品に出会えたことは幸せでもあり、苦しくもあり。
早く次の台本が欲しいと毎日のように願う今です←

またいつか、何かの形でこの世界に触れることが出来たらいいなぁ。
公演終了からどれだけ経ったとしても、皆さんのご感想や考察等々はまだまだ読ませていただきたいので、是非ご投稿よろしくお願いいたします(笑)



ぜーんぶいい写真(笑)
みんな本当に大好き。
物語の重たさとは裏腹に、本当に明るくて賑やかな座組でした。心から楽しかった。
ああどうしよう、今一番寂しいかも。。すっごい泣いてる(笑)
寂しくて泣くような年でもないでしょうに、あーあ。(笑)
良かったら、カリブちゃんとの振り返りツイキャスも聞いてくださいね。
書こうと思えば書けることはまだまだあるけど、ここでおしまいにしたいと思います。
物語には、「おしまい」が必要だからね。
今作は「めでたしめでたし」とは言えなかったけれど、どうか、関わったすべての人に幸があらんことを、そしてまたご縁が巡ってくることを願って。
アナ。
「恩恵」という意味を持ったその名前を、きっと本人は何て皮肉だと感じていただろうけれど。
あたしは貴女のおかげで得難い時間を過ごせました。
心から、ありがとう。また、どこかで。
むかしむかし、蒼い光の降る月の夜に起きたお話。
おしまい、おしまい。