えがおで りんと このばしょで

表現者であり女・小沼枝里子のあれやこれ。

終演。

疾駆猿第陸回公演
「VAGUENIGMA-1959- 鮫崎刑事の受難スパイラル【想道】│明地百華の御節介メモアーズ【斬糸】」

「VAGUENIGMA-the Crossing- 鮫崎刑事の受難スパイラル【悉道】」

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全25公演が無事に終演致しました。
ご来場頂きましたお客様、ご声援頂きました皆様に、心より感謝申し上げます。

 

まず初めに。
今回、おかげさまで個人の売り上げが自己ベストを達成致しました。
枚数にして39枚、人数にして36名のお客様がお心を向けて下さいました。

これね、正直「売れてない」部類に入る数です。馬鹿にする人もいるかもね(笑)
だけど、あたしにとっては本当に大きな進歩なんですよ。
目標だった50枚には及びませんでしたが、飛び込みでいらして下さった方も居て、前回の伍回半であたしを知って下さった方がご予約下さったりもして、ただただ嬉しかったです。
本当に本当に、嬉しかったです。

明確な数を公表したのに、特別はっきりした理由は無いんですけどね。
でも、隠す理由も無いな、と思って。
だって、あたしにとっては紛れもない成果で、とても嬉しい事だったから。本当に。

「VAGUENIGMA」に関しては、あたし扱いであろうがなかろうがとにかく観てくれさえすれば嬉しい!と思ってる作品なんだけどね。
というか、今後もそういう作品じゃないと出たくないな、とは思ってます。

 

さて。
改めて、今回演じた「蘆屋正宗」という女性について語っていこうと思います。

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彼女を語る上で欠かせないのが、やっぱりまずはこの人の存在。

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夫・蘆屋安綱(アシヤヤスツナ)。
まずは、末次さんお世話になりました!
ていうか、ベイゲに出演するのはこれで4回目でしたが、あたしの旦那いる率の高さよwww

正宗は、とにかく劣等感と虚栄心の塊でした。
他者にきつく当たることでしか自分を守れない、とても弱い女性です。
安綱は、所謂「色狂い」だったわけですが、宗近によってその事実を知らされた時も、結局彼女はそれを見ない振りをする事を選びました。
もし彼女に、安綱を責める事の出来る強さがあったなら、物語はもう少し違っていたのかもしれません。

 

宗近「ねぇ、正宗お姉さま」
正宗「なに?」
宗近「私、お姉さまがうらやましい」
正宗「え、どこが?」
宗近「だって自由に生きてるもの」
正宗「あのね、人生なんて一瞬よ。たかが60年でしょ。楽しまなきゃ損よ」

 

この時の正宗は、13歳年下の妹に向かってとにかく先輩面をしています(笑)
(正宗はあたしの実年齢と同じ設定にしてました。宗近は生徒会の副会長という設定があったので、17歳かな、って。)
正宗はね、宗近に対してものすっごい劣等感持ってたんですよ。
だから、ここで言ってる事は勿論嘘ではないんだけど、「うらやましい」って言葉にすっごい優越感感じちゃってるの(笑)

おそらく、正宗もそこそこ優秀だったんじゃなかろうかと思うのです。
それに、則宗が「正宗姉さんや国宗のように女性としての魅力は私にはありませんから」と言っていたとおり、容姿や雰囲気の艶やかさや華やかさも持っている人ではあったのだと思います。
けれど、「誰からも好かれ」かつ「勘の鋭く賢い子」と母親からも評価され、四女にも関わらず次期当主として期待を背負っていた宗近。
本当は、この上なく嫉妬していました。

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(蘆屋菊正役・柴田恵子さん。とってもチャーミングな方でした♡)


正宗は、本当は母親に認めて欲しくて、愛されたかったんですよね。
だけど、それを素直に求められなくて、ああいう出し方をしてしまう。
結局、好き勝手やって「当主なんて立場に興味は無いし、家にも縛られない」と強がる事で、長女としての自尊心を保っていました。
(※観てない方のために注釈。実際の台詞じゃなくて小沼が勝手に考えた正宗のモノローグです)

 

宗近「お姉さまは寛大だわ。安綱さんをあんな自由にさせて」
正宗「どういうこと?」
宗近「お兄さまが、温子に色目を使っているのを見かけましたの」
正宗「…そう」
宗近「はい。お兄さまがああする事も許しているなんて、さすが蘆屋家の長女だけあって心が広いですわ」

 

この時の宗近は、もう本っ当に一切の悪意無く正宗を尊敬してくれています。
だからこそ、正宗には大ダメージなんですよね(笑)
この後のやり取りで、安綱が宗近にも色目を使っている事がほぼ確定するわけですが、正宗的には自尊心ずったずたですw

自分は自由に好き勝手やっているくせに、旦那にはそれを許せないずるさと弱さ。
でも正宗にとっては、安綱は最後の砦みたいなもんで、安綱までが宗近に心を寄せてしまったら、正宗が宗近に勝てるとこなんて何にも無くなっちゃうんですよね。
本当はそういうとこじゃないし、そもそも勝ち負けなんかじゃないのにさ(笑)

だから彼女は知らない振りを選びました。
宗近の話を無かった事にして。
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
だって自分がその現場を実際に見たわけではないから
(シュレディンガーの猫だねぇ)

 

安綱は色狂いなので、夜のお付き合い自体はとてもまめにしてそうだよね、と末次さんとお話しまして。
蘆屋一家を順子が紹介していくシーンで、正宗と安綱のシーンがあったのですが、「日を改めてしっかり挨拶に行こう」という台詞には「この後抱いてあげるから」的なニュアンスを含んで下さい、とお願いをしました。
正宗のご機嫌取りの方法って抱くことになってそうだよね、っていう(笑)
宗近から聞いた話がずーーーっと心にわだかまってるから、本当は不安で仕方ないんだけど、その不安を、正宗は性的な快楽で誤魔化してたわけです。
でも多分、抱かれれば抱かれるほど不安は膨らんでいって、でもそれを掻き消すために更に溺れて…という悪循環(笑)

たとえそれが執着だったとしても、正宗の中を占める安綱の割合はかなり大きかったので、殺された後はもう色々がったがた(笑)
警察に当たるわ妹に当たるわもう散々ですねwww

 

本音を言えないまま、強いふりをする事しかしてこられなかった彼女にとって、死ぬ瞬間が最も素直になれた瞬間でした。皮肉なことに。

「いつか死ぬ事はわかってた。でもやっぱり怖いものね。死ぬって」

身体を支えてくれた百華に、死ぬ間際に見せる事の出来た本当の弱さ。
怖くて、苦しくて、けれど、遠のく意識の中で、正宗はやっと「本当にしあわせ」でした。

 

結構ステレオタイプの嫌な女だったのに、思った以上にお客様が正宗を愛して下さって。
自意識過剰かもしれませんが、正宗に限らず、今までやってきた役を思い返して、感じました。


あたしはきっと、どれほどに嫌な女を演じたとしても、本当に嫌な女は出来上がらない。
自分の人格、経験、思想を超えた事は出来ない。

 

と。あたし、本当に嫌な奴にはなれないようです(笑)
あたしの大っ嫌いな人をお手本にしようが、やっぱり最後は演者自身の気質によるんですね。
良くわかりました。
まぁでも、誰かの好きは誰かの嫌いなわけで、あたしがいい奴ってわけでは勿論ないと思うけどね。

 

それぞれが無残な死に方をする事になってしまったけれど、あの世でせめてちゃんと喧嘩くらい出来てるといいな。
ちょっと心配だったけど、ちゃんと貴女を愛せて良かった。
ばいばい正宗。

 

振り返りはまだまだ続くよ。